物流船舶のいろいろ

物流の主要な輸送機関のひとつである海上輸送では、さまざまな種類の船舶が使用されています。既に環境問題などに取り組んだ船舶も就航しています。いくつかを見てみましょう。

物流船舶で、オーソドックスなタイプには、「一般貨物船」「コンテナ船」「重量物船」があります。「一般貨物船」は、貨物船の基本形ともいえるスタンダードなタイプです。旅客定員が少なく、クレーンを装備し、荷役設備のない港でも積み卸しができます。「コンテナ船」は、海陸の複合一貫輸送を実現した国際規格のコンテナを収納して運ぶ専用船です。現在の国際航路の主力で、貨物船の中では最速を誇ります。「重量物船」は、プラント部品や大型建設機械などの重量物を専門に運ぶ貨物船です。重い貨物を積み降ろせるように、強力な荷役装置と荷役中に船体が傾斜するのを防ぐ大容量のバラストタンクを備えています。

物流船舶で、特徴的なタイプに、「帆走貨物船」「プッシャー・バージ」「RORO船」があります。「帆走貨物船」は、コンピュータ制御の帆をもつ帆船です。日本で開発された船で、エンジンの補助に帆を使い、従来の船に比べ数10%の省エネを実現しています。「プッシャー・バージ」は、貨物を積む機能のバージ(艀)を動力のあるプッシャー(押船)が押して進む船です。バージラインを参考に日本で開発された船です。「RORO船」は、船の前後のランプウェイからトレーラーやフォークリフトによって直接貨物を積み降ろしするRORO(ロールオン/ロールオフ)方式の貨物船です。クレーンが無く、カーフェリーのような船ですが、客室がないです。国内で就航し、前述のモーダルシフトの受け皿となっています。

物流船舶で、タンカーのタイプに、「原油タンカー」「LPGタンカー」「LNGタンカー」があります。「原油タンカー」は、原油などの液体可燃物を運びます。荷役用のパイプラインとポンプを持ち、タンク状の船倉が縦横に仕切られ、原油の流動を押さえながら、事故時の原油流出を最小限にするように工夫されている。「LPGタンカー」は、LPG(液化石油ガス)を運びます。輸送中に気化したガスを液化するための再液化装置を備えています。「LNGタンカー」は、マイナス162度の超低温で液化したLNG(液化天然ガス)を運びます。断熱構造のタンクや緊急遮断装置、輸送中に気化した天然ガスを燃料として使う特殊なタービンエンジンなど、多くの先端技術を駆使したハイテク船です。

物流船舶で、ある貨物を専門に運ぶタイプに、「モジュール船」「自動車専用船」などがあります。「モジュール船」は、プラント貨物を専門に運びます。船倉はなく、貨物はユニットドーリーと呼ばれる特殊な自走台車で甲板にのみ積まれます。「自動車専用船」は、自動車を専門に運びます。自動車は自走して、舷側のランプウェイから船内に積み込まれます。船内は何層ものデッキに分かれた屋内駐車場のような構造です。