物流には、いままで見てきた以外にも、さまざまな取り組みや構想がなされています。いくつかを見てみましょう。
物流の鉄道貨物輸送とトラック輸送の間でも、モーダルシフトの推進策が進んでいます。スワップボディ方式と言うものがあります。スワップボディとは、乗せ替えボディのことです。トラックのボディ(荷台)が脱着式になっていて、貨物を搭載した状態でボディだけを、鉄道貨車に積み替えたり、別のトラックに積み替えたりできます。トラックで集荷に行き、途中、鉄道貨車に積み替え、最後にまた、トラックに積み替えて配達するという、複合一貫輸送が実現できるものです。
物流の鉄道貨物輸送とトラック輸送の間で進んでいるモーダルシフトの推進策に、もうひとつ、スーパーレールカーゴ(電車型特急コンテナ列車)があります。鉄道車両には、大きな動力を持つ機関車に動力を持たない車両をつなげて動かす「列車」方式と、モーターの動力をつなげた車両に分散して動かす「電車」方式があります。普通の貨物列車は、動力を持たない「列車」方式ですが、スーパーレールカーゴは、動力を持つ「電車」方式で、高速化しています。高速で運送することにより、積み替えや拠点間の輸送などの複合一貫輸送で発生する時間のロスをカバーしようとするものです。平成16年3月より、運行しています。
物流工程の静脈物流をシステム化する取り組みが各地で行われています。低コストで大量の貨物を輸送できる海上輸送をメインとした「港湾を核とした総合的な静脈物流システムの構築」が国から推奨されています。その静脈物流システムの拠点となる港湾をリサイクルポート(総合的静脈物流拠点港)と言います。リサイクルポートは、広域的なリサイクル施設の立地に適した港湾が国から指定を受けます。既に平成14年5月に5港、平成15年4月には、新たに13港、リサイクルポートの指定を受けています。
物流工程の消費者物流にモーダルシフトの概念を導入することをモーダルセレクトと言います。モーダルセレクトとは、宅配便などの一般消費者が利用する物流において、環境負荷の少ない方式を選択できる仕組みを指します。具体的なイメージとしては、急いでいない荷物を発送する際に、発送者が環境負荷の少ない輸送手段を選択することで、モーダルシフトの効果を得ようとするものです。平成18年に提案されたもので、実際のシステムは今後実現されていくものです。